廣水 乃生さん「支え合うコミュニティづくりの実践にも裏打ちされた智慧」

本書の著者である榎本英剛さん(以下、ヒデさん)と初めてお会いしたのが、日本初開催での国連ESD認証エコビレッジデザインエデュケーション(2008年11月から開催)の講師合宿だった。

当時、コミュニティや組織に関わったりファシリテーションやその世界観などを共有したりしていた私のところにも、会う人会う人から「ヒデさん」のお名前をよく耳にすることもあり、ついにお目にかかれると楽しみだったのを覚えている。

同じ部屋でサッカーの話やコーチングの話など気さくにお話したことが今でも印象に残っている。

当時ヒデさんが講師として呼ばれたのは、まさに本書の取り組みである『トランジションタウン』の実践について、持続可能な暮らし、持続可能な地域、そこに向けてどのように変わって(トランジションして)いけばいいのか、という先鋭的な実践内容であった。

そのヒデさんの講義の中で心に残ったことは、「これまでコーチングの普及を通じて人のエンパワメント(勇気づけ)をしていたが、社会そのものが変わっていく必要性も強く感じ、トランジションタウン運動によって社会のエンパワメントを推進したい」という言葉だった。

わたし自身も、個人の変容だけでなく、コミュニティの変容への関心をもち取り組んでいるひとりではあったが、具体的ですぐ始められる(とはいえ辛抱強い取り組みもあるが)コンセプトと事例に溢れるものだった。

それから日本では、このトランジション運動が広がりつつも、東日本大震災、そして新型コロナウィルスなど、暮らしの持続性について大きく揺さぶられる体験に直面している。

本書には、こうした危機に対してどのように支え合うコミュニティをつくっていけばいいのかの、この10数年もの日本における実践にも裏打ちされた智慧がまとめられている。

今、わたしが取り組む、Sustainability Transformation(持続可能性を高めていく変容)の推進においても、さまざまな方と繋がる中、今でも「トランジション・タウン」の智慧や事例は息づいており、とても力づけるものである。

本書の発刊を心待ちにしていた方もたくさんいたことであろう。わたしの周りにいる方々でまだ「トランジション・タウン」について詳しく知らない方にはぜひ手にとり、何かを始めていくきっかけにしていただきたい。

今だからこそのタイミングに強い意義を感じ、これからのさらなるSustainability Transformation(持続可能性が高まる変化)の流れが加速することを確信する。

廣水 乃生(ひろみず のりお)

一般社団法人サステイナビリティトランスフォーメーション推進協会 代表理事

ADS株式会社 代表取締役

現在、Sustainability Transformation(略してSX、持続可能性を高めていく変容)を推進すべく一般社団法人とSXコンサルティング事業を行う株式会社として取り組んでいる。

【主な取り組み】
・藤野で使われている電子コミュニティ通貨『ゆ〜る』を実現している『PEACE COINアプリ』によるコミュニティ通貨導入事業

持続可能な地域コミュニティ形成(コモンズ創造)事業・友部コモンズ

サステナブル経営コンサルティング事業
誰でも始められるサステナブル経営入門セミナー

YouTubeチャンネル ADS.inc
Sustanabilityについての対談動画 “SXBATONS”
を中心にやってます。登録お願いします!

【『SDGsのすごい会社』(扶桑社BOOKS)】
共著として2021年2月22日発売。
Amazon環境とビジネス部門ベストセラー初登場第1位。ADS(株)が関わる、環境省ESG金融事業として持続可能な地域づくりプラットフォーム形成事業を推進している『栃木銀行』と糸島市を舞台にコミュニティ通貨『い〜と』の導入運営で繋がりのある『いとなみ』を紹介。

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